心のメカニズム
摂食障害とは
ふたつのタイプ [拒食]と[過食]
摂食障害には二つのタイプがあります。
摂食障害には食事をほとんどとらなくなってしまう拒食症、極端に大量に食べてしまう過食症があります。拒食症では、食事量が減る、低カロリーのものしか食べないことから体重が極端に減る、やせて生理がこなくなるといった症状があります。過食症は、いったん食べ始めるとやめられない、むちゃ食いしては吐く、食べすぎたことを後悔し、憂うつになるなどの症状がみられます。拒食症から、過食症になることもあります。
               ※厚生労働省HP 『知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス』より抜粋

マインドフルネス福井では、これらのなかで『過食・嘔吐』という症状の方への支援をしています。

過食と嘔吐
・コントロールを失った過食をしてしまう
 自分ではやめられない。人が変わったように食べてしまう。胃の限界まで食べる。
・過食のあと、体重を増やさないために代償行動をする
 嘔吐・下剤などの使用(食べたことをなかったことにする) 過度な運動をする。
・1日に何度も過食嘔吐を繰り返してしまう
 過食→嘔吐→過食…エンドレスな状態に陥る。
・過食嘔吐をしている自分に対する無力感がある
・体重や体型によって自己評価が左右される
摂食障害と○○の関係
過食嘔吐による心理的、身体的、社会的な影響
過食嘔吐は長期化してくると、さまざまな面で影響がでてきます。
心理的なもの身体的なもの、人間関係や仕事、家庭などの社会的なものがあります。
一般的に[どのような影響があるのか]をまとめました。
 
 

[わたしの実際の体験とそこから気づいたこと・メッセージ]

ブログ(わたしと摂食障害)でお伝えしています

いま過食嘔吐が続いている方のヒントになればと思います。

過食嘔吐とうつ・気分
[影響]
・過食嘔吐にふりまわされている自分が虚しい
・すべてがダメに思えてくる
・消えたい
・いつも何かに焦りを感じている
・ゆとりがない
・気分の浮き沈みが激しい
過食嘔吐とからだ
[影響]
・いつも怠い、疲れている
・便秘(嘔吐による胃酸や水分が奪われるため)
・無月経・月経不順(ホルモンバランスが崩れるため)
・顔が丸くなったような感覚(嘔吐による唾液腺の腫れ)
・食道・胃へのダメージ(胃酸による炎症など)
・貧血(嘔吐によるミネラルなどの欠乏)
・冷え性(身体に十分な栄養がいかないので、省エネモードになるため)
 など
過食嘔吐と運動
[影響]
・過剰な運動
・ノルマを自分に強いる
・疲労を感じても、無視して運動をする
・消費カロリーを気にする
・納得するまで運動しないとイライラする
過食嘔吐と歯
[影響]
・虫歯が多くなる(食べる時間が長く、嘔吐による胃酸で)
・歯が黄ばむ
・歯科通いが頻繁になる
・歯科治療費がものすごくかかる
・歯を失うケースもある
過食嘔吐とお金
[影響]
・食費(過食するための食べ物)
・歯科の治療費
・過食をまぎらわすための浪費(洋服の衝動買い、ギャンブルなど)
過食嘔吐と人間関係
[影響]
・他者と会うよりも過食嘔吐が優先
・場をたのしめない
・過食嘔吐をするために嘘が増える
・思うようにできないとイライラして他者にあたる
・ひとりぼっちで過ごすことが増える
・他者に病気のことをカミングアウトすることの葛藤・抵抗
過食嘔吐と仕事
[影響]
・仕事よりも、過食したい気持ちが強い
・仕事に集中できない
・はやく帰って過食することを考えてしまう
・仕事でのストレスを過食嘔吐で流すというサイクル
・食費を稼ぐために仕事をしている
・仕事は妥協できない(完璧主義、高いプライド)
・(引きこもり期間がある場合)就職の面接での応答がストレスになる
摂食障害とどう向き合っていくか
どのように摂食障害と向き合っていくのか


病気について知る・理解する(心理教育)
摂食障害は[病気]という基本的な理解が重要です。
症状ばかりに目がいってしまいがちですが、根性や意志の問題ではなく、
自分ではコントロールできない[病気]であること、そのメカニズムなどを理解します。

どんな自分になりたいか?(目標を確認する)
一番はじめに、あなたがどうなりたいか、どんな自分になっていきたいか、希望や目標を確認します。
たとえば「過食と嘔吐をすこしでも減らしたい」「ストレス対処法を過食以外のものをみつけたい」
「働きたい」など。
回復だけが目標ではありません。一人ひとりの目標です。
目標が漠然としているようであれば、ともに話し合って、より具体的な目標を考えていきます。

どうすれば目標を達成できるか共に考える(実際に取り組む)
次に立てた目標に対して、それを達成するためにはどうしていけばよいかを具体的に考えていきます。
そのとき各種心理療法や、ワークシートの利用など、目標に応じて利用します。
生活に根差した[課題]や[方法]をカウンセラーといっしょに練っていきます。
カウンセラー任せではなく、自らの問題に主体的に取り組んでいけるようサポートします。
   ▼
課題に取りくんだ結果について話し合います。
ひとつ目標が達成できたら、また次の目標を立てていきます。
   ▼
次のステップへ
 

大事なことは

「変化を目指すこと」

「自分に合った生き方を探すこと」

その根底にはカウンセラーと共に進むという「安心感」があります。


 
相談例―取りくみの流れ  
[相談例]
’”過食嘔吐をなんとかしたいという気持ちはある。
でも何から取り組んだらいいか分からない”


[取りくみ]

まず現在の生活リズムや食行動がどうなっているのか整理します。
簡単なワークシートや、記録表をつけて、現状を客観的に確認します。

 
その記録表をもとに、自分でも変えていけそうな部分、
すこし努力できそうな部分を探していきます。
それが自分への「課題」になります。 
(例) ”空腹の時間が多くて、その後の過食が激しくなることが多いことがわかりました”
    

間食を入れてみる[課題]
 ▼
しばらく課題に取りくみ、
その結果を基にカウンセラーと話し合います。
新たな課題を考えます。
(例) 間食をしてみました。食べものによっては大丈夫だったけれど、過食のスイッチが入ってしまう時もありました。飴やグミは大丈夫だった。
でもクッキーなどは抵抗があります”

    ↓
しばらく安心して食べれる間食を続けてみる。
クッキーなど抵抗があるものは、1枚だけと決めて挑戦してみる
[新たな課題]
 
「なにから取り組んだらいいのか分からない]という方は多いです。
実際の生活での変化がでるように、生活に根差した課題と変化に焦点をあてていきます。
小さな変化であっても、それが大事なことです。
”自分の力で進んでいるという実感が自信に”
摂食障害の回復とは
いろいろな回復のかたちがある
摂食障害からの回復とは、  
「病気になる前の自分に戻ること」
「症状が完全になくなること」
「完璧な人間になること」
ではありません。

では、何をもって[回復]と言うことができるのでしょうか。

食行動の面では
・過食嘔吐の頻度が減少する・なくなる
・食生活が整う
・過食嘔吐による影響をうけずに、社会生活をおくることができる

その他の面では
・体重や体型の変動に過度に動揺しない
 (体重・体型が自己評価に過剰に影響しない)
・病気をしっかり理解し、自分のことも客観的にみれる 
・自分の問題を自分で解決することができる
 自分の決断や能力に対する自信がある
 (自己決定権をもてる)
・自分のことを受け入れ、自分のことを好きになれる
 (自尊心・自己肯定感の向上)
・ストレスにうまく対処でき、心のバランスがとれている
 (ストレス対処力)
 など

多少の偏食や症状があったとしても、

自分の人生を、その環境の中でタフにしなやかに生きていけること

が本当の回復です。


いろいろな回復のかたちがあります。
自分なりの回復をみつけていただけたらと思います。

 




 
[流れで解説]摂食障害のマインドフルネス
マインドフルネス心理療法を用いた摂食障害からの回復−心の柔軟性を高める−
マインドフルネス心理療法を用いた摂食障害からの回復−心の柔軟性を高める−
ここでは、摂食障害(過食・嘔吐)に対して、
マインドフルネス心理療法(SIMT)では
どのように取り組んでいくのか、
どのように改善していくのかを詳しく解説します。

マインドフルネス心理療法(SIMT)では、
過去をさかのぼったり、原因が何であったかなどは基本的に行いません。
『今、ここ』で起きている心の様子に焦点をおきます。
この『今』という瞬間瞬間にどのような心の使い方をするか
それによって、ネガティブになったりポジティブになったり心が変わります。

心の使い方を変えていく、
つまりマインドフルネスで心の柔軟性を高める
このようにイメージしていただくと分かりやすいです。
心の柔軟性を高めるために必要な力
ゝい鼎力(自分の心で起きていることを観察、知る)
分かっているようで一番分かっていないのが、自分の心です。
これまであえて自分の心をみないようにしてきたのかもしれません。
しかし、病気からの回復には、まず心そのものを知ることです。

例えば、過食したい!というスイッチが入る瞬間に気づく。
胃に食べ物があるときに感じている不快な感情に気づく。
日常生活で常に食べることばかりを考えている自分に気づく。
吐かなければいけない!という頑なな自分ルールに気づく。
太りたくないという気持ちの背後の本音に気づく。
あれこれ考えて苦しさを増しているのは自分自身だったことに気づく。
いかに過去や未来、他者にとらわれているのか気づく。
など。


マインドフルネス心理療法(SIMT)では、自分の心を知り、気づくことから始まります。

⊆容する力
マインドフルネス心理療法(SIMT)に取り組み、気づきの回数が増えていきます。
過食や嘔吐というのは病気の症状ですから、つらいのは事実です。
(回復すれば減ったり、なくなったりしますが)その時点では簡単にはなくせない。
また、生活していれば思わぬ出来事が起きたり、嫌な出来事にも遭遇します。
これらは必然のものです。
このように自分の力ではコントロールできないものは、まず受け入れることです。
一旦受け入れることで、あぁそうだったのか、と自分を客観的に観察できる自分が生まれます。

自分の心で起きていることをありのまま受け入れる練習をします。

自分の願い・人生の価値を確認する
摂食障害は長期的になりやすい病気です。
長年病気中心の生活が続くと、人生での願いや思いを忘れてしまいます。
摂食障害になっていなかったら、どんな人生を生きたかったのか。
どんな仕事をしたかったのか。どんな人間関係を望んでいたのか…。


改めて自分の願いや人生で大切にしたい価値を再び思い起こしていきます。
これらが、回復にたどり着く指針となります。


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自分の願いや人生の価値をしっかり確認したら、実際に行動していくことが必要です。
病気であるという現状に留まっていることは、ある意味らくかもしれません。
しかし病気を改善するためには、あと少し、行動です。
まず小さな行動から。それが自信になります。
例えば、食べた後、すぐに吐かずに、その不快感を観察してみる。
食べたくなったら呼吸法をして、自分の心を観察してみる。
食べること以外のことに意識を向けて違う行動を試してみる。など。

時には行動してみても上手くいかないこともありますが、そのときはその結果を受け入れ、
また前を向いて進んでいきます。

行動する力、その結果を受け入れ、さらに行動していく力を高めていきます。

ゼ匆颪箸里弔覆りを回復する力

摂食障害になると、ひとり摂食行動の世界にこもってしまう傾向にあります。
人間は社会的な生き物です。他者との関係性の中で生かされています。
主婦であっても、会社で働くにしても、社会のなかで自分の役割をみつけて、
自分がいるその環境で貢献していくことで、人は自分の存在価値を感じます。
マインドフルネス心理療法では(利他)と言います。

自分を大切にする(利己)に加えて、さらにこの(利他)の精神もマインドフルネスを通して
学んでいきます。
病気から回復したあとの人生でも、利他の精神を持ち続けることが心の安定、再発予防になります。